リベ大どうぶつ病院

コラム

犬・猫の手術前検査|必要な理由・検査内容・費用を獣医師が解説 

  • 🐶犬

  • 😺猫

  • 総合診療

公開日

2026.6.24

更新日

2026.6.24

こんにちは!リベ大どうぶつ病院 院長の林です。

🌀 手術前の検査って本当に必要なの?

🌀 検査項目が多くて、どれが必要なのかわからない?


そう感じるのは、決して珍しいことではありません。

大切な家族が手術を受けるとなると、不安になるのは自然なことです。


今回のコラムでは、術前検査が必要な理由・各検査項目の意味・当日の流れをわかりやすくお伝えします。

手術への不安を少しでも和らげるきっかけになるとうれしいです。

🔸 元気に見えても手術前検査が必要な理由

術前検査は、避妊・去勢手術、歯科処置、腫瘍切除、整形外科手術、CT・MRIなど、全身麻酔や鎮静が必要な処置の前に行います。


では、なぜそこまで大切なのでしょうか。

理由は大きく2つあります。

外見からはわからない「隠れた不調」が見つかることも

犬や猫は不調を隠すことがあります。

そのため、血液検査や画像検査で初めて異常が見つかることもあります


海外の研究では、術前検査により約6頭に1頭で予定手術の見直しが必要となり、その約半分は、触診や聴診だけでは発見できなかったとされています。

見た目が元気でも、検査をして初めて気づけることがあるということです。

その子に合った麻酔を選ぶために、体の状態を事前に確認する

麻酔薬の種類や量は、腎臓・肝臓・心臓の状態に合わせて調整する必要があります


海外の研究では、術前検査の結果から約5頭に1頭で麻酔・鎮痛の手順が変更されたと報告されています。


その子に合った麻酔を選び、手術中や術後のリスクに備えるためにも、術前検査は大切です。

なお、心臓の薬を飲んでいる子でも、定期検査がなければ現在の状態を正確に把握できないことがあります。

術前検査は、こうした見えない部分を確認する機会にもなります。

🔸 手術前検査の内容と各項目の意味

検査項目は多く見えますが、すべてを一律に行うわけではなく、その子の年齢や体調、予定している処置に合わせて必要なものを選びます。

それぞれの検査には大切な役割があります。

検査項目

何を調べるか

なぜ必要か

身体検査

皮膚・関節・心音・体温など

まず全身の状態をみるため

血液検査

貧血・炎症の有無、肝臓・腎臓の機能、血液の固まりやすさ

麻酔や出血のリスクをみるため

レントゲン検査

臓器・心臓・肺・骨の状態、異物の有無

外からはわかりにくい異常をみるため

エコー(超音波)検査

臓器の大きさ、腹水・腫瘍の有無、心臓の動きや弁の状態

心臓やお腹の状態を詳しくみるため

心電図

不整脈の有無

心臓のリズムの乱れをみるため

尿検査

腎機能・尿路疾患・糖尿病の兆候

尿からわかる異常をみるため

便検査

寄生虫の有無、腸内細菌のバランス

お腹の不調や感染のサインを確認するため

どの検査が必要かは、年齢・健康状態・手術内容によって異なります。

詳しくは来院時にご説明します。

🔸 手術前検査が活きた、実際の症例

術前検査は、異常があるかどうかを調べるだけでなく、その子に合った麻酔や手術の進め方を考えるためにも大切です。

実際に、心臓病のある犬で、術前評価と院内での検討をもとに膀胱結石手術を行った症例を別コラムでご紹介しています。

「心臓病があるけれど手術できるのかな」と不安な方は、ぜひあわせてご覧ください。


▶︎ 症例記事はこちら「当院における治療例|心臓病の犬の膀胱結石手術

🔸 手術前検査を省略するとどうなるか?

術前検査を省略すると、手術中や術後に思わぬトラブルにつながる可能性があります

具体的に見ていきましょう。

麻酔中の予期せぬトラブル

麻酔薬は心臓・肺・血圧に影響を与えます。

過去の研究では、犬猫に基礎疾患がある場合、死亡率が最大140倍以上に達することも報告されています。

もちろん、すべての子に大きなトラブルが起こるわけではありませんが、だからこそ事前に状態を把握しておくことが大切です。

手術後の回復の遅れや体調変化

肝臓・腎臓の異常があると、麻酔薬が体に残りやすくなります。

その結果、覚醒が遅れたり、術後の体調変化が起きやすくなることがあり注意が必要です。

実際に、犬の麻酔関連の死亡の約80%は術後に発生することが報告されています。


当院では、全身状態から麻酔リスクを評価し、必要に応じてスタッフ間で事前にカンファレンスを行っています。

術前検査の結果は、その判断の大切な情報です。


術前に状態を把握しておくことで、より落ち着いて手術に臨みやすくなります

🔸 手術前検査の費用と受診の流れ

手術前検査費用の目安

検査内容により異なりますが、血液検査・レントゲン・心電図を含む基本セットは2〜4万円前後が目安です。

高齢の子や心臓・腎臓に不安がある子では、追加検査が必要なこともあります。


費用面が気になる方も多いと思いますので、当院では必要な検査の内容や金額は事前にできるだけわかりやすくご説明しています。

ご不明な点は遠慮なくご相談ください。

当日の準備と流れ(当院の場合)

当院では午前中にご来院後、必要事項を確認してお預かりします。

画像検査のため当日は朝ごはんを控えていただきますが、お水は飲んでいただいて問題ありません。

お迎え時に身体・画像検査の結果を説明し、血液検査はLINEでお伝えします。


はじめて術前検査を受ける方にもわかりやすいよう、その都度ご案内しますのでご安心ください。

愛犬と一緒に微笑む院長の写真と『院長のワンポイントアドバイス』という吹き出しのメッセージ

術前検査は「不安を見つけるもの」ではなく、「安心して手術に臨むためのもの」です。ぜひそんな気持ちで受けていただけるとうれしいです。

🔸 まとめ|手術前検査で安全な手術を

術前検査は、元気に見える子にも欠かせない大切な準備です。

身体検査では気づきにくい異常を早期に発見し、その子の体の状態に合った麻酔を選び、手術中や術後をできるだけ安心して迎えるためにも、術前検査は大切です。


不安なことがあれば、まずはお気軽にご相談ください。


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それではまた、次のコラムで!


【参考文献】

  1. Cañón Pérez A, et al. Influence of Comprehensive Pre-Anaesthetic Assessment on ASA Classification and Surgical Cancellations in Dogs and Cats: A Retrospective Observational Study. Vet Sci, 2025, 12巻, 7号, p612

  2. Louro LF, et al. Pre-anaesthetic clinical examination influences anaesthetic protocol in dogs undergoing general anaesthesia and sedation. J Small Anim Pract, 2021, 62巻, 9号, p737-743

  3. Bille C, et al. Risk of anaesthetic mortality in dogs and cats: an observational cohort study of 3546 cases. Vet Anaesth Analg, 2012, 39巻, 1号, p59-68

  4. Redondo JI, et al. Anaesthetic mortality in dogs: A worldwide analysis and risk assessment. Vet Rec, 2024, 195巻, 1号, e3604

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