リベ大どうぶつ病院

コラム

猫の慢性腎臓病|ステージ分類の見方と進行を遅らせる「守る医療」

  • 😺猫

  • 泌尿器科

公開日

2026.8.13

更新日

2026.8.13

こんにちは!リベ大どうぶつ病院 院長の林です。

🌀 我がコの「腎臓の数値が高い」と言われた…

🌀 ステージが進んだら、どうなってしまうの?


このコラムをご覧になっている方は、このような不安や疑問をお持ちかもしれません。


今回のコラムでは、猫にとても多い病気「慢性腎臓病(CKD)」の第2弾として、ステージ分類や、進行を遅らせるための医療についてお話ししていきます。


なお、慢性腎臓病でよく見られる症状や、早期発見のポイントについては、過去のコラムでお話ししています。気になる方は、あわせてご覧ください。


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🔸 猫の慢性腎臓病のステージ分類

国際的なガイドラインでは、腎臓の働きや形の異常が3ヶ月以上にわたって続いている状態を、慢性腎臓病(CKD)としています。


みなさんがよく聞くのは「慢性腎不全」かもしれませんが、これはもう少し狭い意味であり、尿毒症などで腎臓の働きが大きく損なわれている状態を指しています。


猫の慢性腎臓病のステージは、IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)が定めた国際的な基準で評価されます。ポイントは「血液検査」と「血圧・尿検査」の2段階で見ることです。

血液検査でわかる4つのステージ

猫の慢性腎臓病、血液検査でわかる4つのステージを示した図

血液検査では、クレアチニンとSDMAという2つの数値を測り、ステージ1〜4に分類します。

ステージ

クレアチニン(mg/dL)

SDMA(μg/dL)

状態

ステージ1

1.6未満

18未満

ほぼ正常だが腎臓の異常の兆候あり

ステージ2

1.6〜2.8

18〜25

軽度の腎機能低下

ステージ3

2.9〜5.0

26〜38

中等度。症状が出始めることも

ステージ4

5.0超

38超

重度。尿毒症のリスクあり

クレアチニンとSDMAは、腎臓が老廃物をろ過する能力を表しています。クレアチニンやSDMAの数値が高いほど、慢性腎臓病のステージが上がり、腎臓の働きが低下している状態です。


慢性腎臓病のステージは、1回だけの血液検査で決まるわけではありません。ガイドラインでは、脱水などの影響がない落ち着いた状態で、最低2回の検査結果をもとに判断することが定められています。

血圧と尿検査でわかるリスク

慢性腎臓病だとわかったら、血圧と尿検査(尿タンパク)を組み合わせた「サブステージ」という評価をあわせて行います。

血液検査の結果が同じでも、血圧や尿タンパクの状態によって、腎臓だけでなく、目や心臓などにダメージが及ぶリスクが変わってくるためです。


ステージとあわせて見ることで、どの治療から始めるかを判断しやすくなります。

項目

基準

血圧(mmHg)

・正常:140未満
・前高血圧:140〜159
・高血圧:160〜179
・重度の高血圧:180以上

尿タンパク(UPC)

・非タンパク尿:0.2未満
・境界域:0.2〜0.4
・タンパク尿:0.4超

適切な治療を受けるためにも、血圧と尿検査まで確認することが大切です。

🔸 ステージが進むとどうなる?

猫の慢性腎臓病は、病気の進行とともに、少しずつ症状が強くなっていくとされます。


どの症状がいつ現れるかには個体差がありますが、次のような変化に気づく頃には、すでにある程度進行しているケースが少なくありません。


◻︎ 水をよく飲む

◻︎ 尿が増える

◻︎ 体重が減る


さらに進行すると、食欲不振や嘔吐が増え、口臭が強くなるなどの変化が現れます。ステージ4では、老廃物を排出しきれなくなる「尿毒症」のリスクが高まります。


慢性腎臓病になってしまうと、腎臓の回復は困難です。ただし、飼い主さんができることがなくなるわけではありません。


適切な管理を続ければ、進行をゆるやかにして、穏やかに過ごす時間を延ばすことを目指せます。また、吐き気などのつらい症状を和らげるケアもあります。

🔸 慢性腎臓病の進行を遅らせる「守る医療」

慢性腎臓病の進行を遅らせるために医療でできること

慢性腎臓病の治療では「いかに進行を遅らせるか」を考えます。いわば、守る医療です。


次の5つが治療の柱になります。


✅ 食事管理

✅ 脱水管理(点滴)

✅ 血圧管理

✅ タンパク尿管理

✅ 症状コントロール


どれか一つを選ぶのではなく、そのコの状態に合わせて組み合わせていきます。

療法食で気をつけたいこと

一番身近な治療が、リンやタンパク質などを調整した腎臓に負担をかけない特別なごはん(療法食)に切り替えることです。


特にリンを抑えることは、長生きにつながると考えられています。


タンパク質も控えめにしますが、減らしすぎはよくありません。猫はもともと肉食動物で、タンパク質を厳しく制限すると筋肉が落ちてしまうため、ほどほどの範囲で調整します。


また、療法食は普通のごはんより食いつきが落ちやすい面もあります。食べる量が減ると、エネルギーもタンパク質も不足し、かえって体重や筋肉を失うことにつながります。


そのため、食事療法は、食欲が落ちる前の早い段階で行うのが望ましいとされています。

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療法食を食べてくれないときは、無理をさせずご相談ください。一緒に工夫していきましょう。

点滴をする

慢性腎臓病の管理で大きな役割を果たすのが「点滴」です。脱水を改善し、尿毒素を減らすことで、食欲や元気を保つサポートができます。


慢性腎臓病が進むと脱水を起こしやすくなるため、点滴を行うのはステージ3〜4のコが中心と言われています。ただし、点滴の量や回数はステージだけで決まるわけではありません。脱水の程度や、食事・飲水の量、体重、持病などを見ながら、そのコに合わせて決めていきます。


点滴のたびに通院するのは、ネコちゃんにも飼い主さんにも大きな負担です。そのため、当院では、ご自宅で点滴を続けられるようサポートしています。

※自宅点滴は診察と獣医師の指示が必要であり、猫によって点滴量や頻度は異なります。


ただし、点滴は万能ではありません。腎臓にとって良くても、心臓には負担になる場合があるからです。血液検査や心臓の超音波検査、日々の様子を総合的に見ながら、獣医師と一緒に考えていきましょう。

お薬による管理

血圧が高い場合は血圧を下げるお薬を、タンパク尿が出ている場合はタンパク尿を抑えるお薬を使って管理していきます。腎臓の状態に応じて、進行を穏やかにする目的のお薬を併用することもあります。


どのお薬を使うかは、そのコのステージや検査の結果によって変わります。獣医師が診察したうえでご提案しますので、気になることは遠慮なくお尋ねください。

🔸 まとめ|今を知ることから始めよう

今回は、猫の慢性腎臓病のステージ分類と、進行を遅らせる「守る医療」についてお話ししました。


早く気づくこと・正しく評価すること・続けて管理すること。慢性腎臓病のコは、この3つで、その後の過ごし方が大きく変わります。


🌀 最近、水をよく飲む気がする

🌀 年齢的にそろそろ心配

🌀 検査はしたけれど、内容まではわからない


そんなときは、一度しっかり評価してみましょう。


当院では、血液検査だけでなく、血圧・尿検査、必要に応じた画像検査に対応しています。

キャットアワー(猫専用診療時間)も設けていますので、怖がりなコも、お気軽にご相談ください。


▶︎ 【大阪府あびこ駅徒歩4分】ご予約・ご相談はこちらから


それではまた、次のコラムで!


【参考文献】

  1. International Renal Interest Society. IRIS Staging of CKD (Modified 2026). 2026.

  2. International Renal Interest Society. IRIS Treatment Recommendations for Cats. 2026.

  3. Sparkes AH, Caney S, Chalhoub S, et al. ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Feline Chronic Kidney Disease. J Feline Med Surg. 2016;18(3):219-239.

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