🐶犬
消化器科
公開日
2025.4.13
更新日
2026.3.17
ミニチュア・ダックスフンド、男のコ、12歳
これまで大きな病気もなく元気に過ごしていましたが、ある日突然、いつもの様子と違うと来院されました。
おしっこが出ないみたいなんです。
出ても1滴くらいで、すごく苦しそうで…
飼い主さんは愛犬がおしっこをするそぶりをしているのに、まったく出ていないことに気づき、すぐに受診されました。
検査の結果、膀胱がお腹の外に飛び出してしまっていることで、尿道が折れ曲がったり圧迫されたりして、尿が出ない状態(尿道閉塞)になっていることがわかりました。
膀胱が本来の位置よりも、外に飛び出していることが根本的な原因のため、会陰ヘルニアと診断されました。
まずは緊急対応として、膀胱にたまった尿を抜く処置を行いました。
膀胱に針を刺し、手動で尿を吸引する「膀胱穿刺(ぼうこうせんし)」という方法です。
膀胱がパンパンになるほど尿がたまってしまい、とてもつらかったはずです。
そのため、まず痛みを和らげることを最優先にしました。
ただ、尿はまたすぐにたまってしまうので、カテーテル(細い管)を使い、スムーズに排尿できるようサポートしました。
後日、会陰ヘルニアの外科手術を行いました。
手術で実際に確認したところ、膀胱だけでなく腸も、おしりの筋肉の隙間から飛び出している状態でした。
そこで、以下の処置を組み合わせました。
去勢手術
精管固定
ウルトラプロメッシュという特殊な素材を使った、会陰ヘルニア整復
飛び出していた膀胱と腸を本来の位置に戻し、再発を防ぐための工夫も同時に行いました。
【手術前】
膀胱にたまっていた尿を抜いた後の様子。
おしりの左側が、右側に比べて少しふくらんでいることがわかります。

【手術後】(約1ヵ月後)
左側の不自然なふくらみがなくなり、手術の傷あともほとんどわからないくらいまで回復しました。

手術の後は、ごはんもよく食べ、術後の経過も良好です。
おしっこも自分でスムーズに出せるようになり、合併症などもなく、無事に回復しています。
今回は、12歳とかなり高齢のワンちゃんでしたが、手術も乗り越え、治療をがんばってくれました。
「おしっこが出ない」「ふんばっているけど何も出ない」
このような場合、特にシニア期の男のコのワンちゃんでは、会陰ヘルニアの可能性があります。
少しでも異変を感じたら、ぜひ早めにご相談くださいね。
受診前にお問い合わせいただけます。どうぞお気軽にご利用ください。
▼関連コラム
消化器科に関するコラム
一覧へ