🐶犬
消化器科
公開日
2025.4.13
更新日
2026.3.17
こんにちは!リベ大どうぶつ病院 院長の林です。
💭丸くてかわいいおしりは、うちのコのチャームポイント!
💭でも最近、特に丸い?ちょっとふくらんでいるようにもみえるけど…
もし、そんな変化を感じたとしたら、それは「会陰(えいん)ヘルニア」かもしれません。
今回は、おしりがふくらむ病気、会陰ヘルニアについてお伝えします。
どんな病気?
主な症状・なりやすい犬の特徴
治療法・予防としての去勢手術 など
あまり知られていないこの病気について、わかりやすく丁寧に解説します。
特に
6歳以上のシニア期に入ったワンちゃんの飼い主さん
には、ぜひ知っていただきたい内容です。
これからも元気で健やかな毎日を過ごすために、お役立ていただけるとうれしいです。
会陰ヘルニアとは、
おしりの周り(会陰部)の筋肉が弱くなり、隙間ができることで、腸・膀胱などがそこから飛び出してきてしまう病気
です。
本来はお腹の中にある臓器が、筋肉のゆるんだ隙間を通って、皮膚のすぐ下まで出てきてしまいます。
このように、内臓があるべき場所から外に押し出されてしまう状態を「ヘルニア」と呼びます。
会陰ヘルニアの場合、飼い主さんが最初に気づくことが多いのが
おしりの横あたりがふくらんでいる(片方または両方)
という変化です。
ふくらんだ部分はやわらかく、押すと少し動く感じがすることもあります。
また、触っても痛がることはほとんどありません。
しかし実際には、体の中にあるはずの腸や膀胱が、おしりの筋肉の隙間から外に出てきてしまっている状態なのです。
【健康な状態と会陰ヘルニアの違い】

おしりのふくらみ以外にも、次のような変化がみられたら注意が必要です。
うんちやおしっこをしそうでしない、または嫌がる
排便のとき、いきむ時間がいつもより長い
うんちの形がいつもと違う
おしっこが出にくい、または量が少ない
食欲がない
元気がない
こうした変化がある場合、会陰ヘルニアが起こっているサインかもしれません。
病気がさらに進行すると、腸がつまる(腸閉塞)、おしっこがまったく出なくなる(尿道閉塞)といった、命に関わる危険な状態になることもあります。

「うちのコは元気だから大丈夫」と思っていても、気づいたときにはヘルニアがかなり進んでいた…というケースもめずらしくありません。
日頃から体の変化をよく観察し、少しでも違和感を覚えたら、早めに動物病院へご相談ください。
この病気が起こりやすいワンちゃんには、いくつか共通する特徴があります。
もしあなたの愛犬が、下記のいずれかに当てはまる場合は、会陰ヘルニアのリスクがあるかもしれません。
去勢していないオス犬
男性ホルモン(テストステロン)の影響で、おしり周りの筋肉が弱くなりやすいと考えられています。
6〜7歳以上の中高齢犬
加齢により、肛門周囲の筋肉が衰えていきます。
便秘がち、または他の病気などが原因で慢性的な咳が出る
腹圧(お腹にかかる力)が高まりやすく、内臓が外に飛び出しやすくなります。
よく吠える性格
吠えることも、腹圧が上がる要因となります。
興奮しやすい・分離不安の傾向があるワンちゃんは、日常的に吠え続けてしまうことで、お腹に負担がかかりやすくなります。
ダックスフンド、ウェルシュ・コーギー、ボストン・テリアなど
どの犬種でも起こる可能性はありますが、特にこれらの犬種は会陰ヘルニアになりやすいとされています。
【会陰ヘルニアになりやすい犬の特徴5つ】

会陰ヘルニアは、自然に治ることはありません。
むしろ、時間が経つにつれて筋肉の隙間が少しずつ広がってしまうため、早めの治療がとても大切です。
治療の基本は外科手術です。
飛び出してしまった内臓を元の位置に戻す
筋肉の隙間をしっかりふさぐ
ことで、症状の改善や再発予防が期待できます。
排便・排尿がスムーズにできるようになります。
筋肉の隙間を縫い合わせたり、補強したりすることで再発を防ぎます。
内臓が正しい位置に戻ることで、不快感やお腹の痛みがなくなり、快適に過ごせるようになります。
会陰ヘルニアは高齢の犬に多い病気のため、どうしても麻酔のリスクがやや高くなる傾向があります。
当院ではその点もふまえて、事前の健康チェックやモニタリング体制をしっかり整え、安全な選択を心がけています。
手術後に再発するケースもあります。術式によって異なりますが、1年以内に再発する確率は1〜2割ほどといわれています。
手術に加えて、術後のケアも大切です。例えば、排便をスムーズにするためにうんちをやわらかくする食事療法や、お薬を使用することもあります。また重症の場合には、より複雑な手術が必要になることもあります。
当院では、手術に関するリスク・方法・術後ケアについて、事前にしっかりご説明し、飼い主さんにご納得いただいた上で治療を行うことを大切にしています。
「手術がどうしても難しい」という場合でも、内科的なケアや生活面での工夫など、できる限りのサポートをご提案いたします。
また、他院ですでにヘルニアと診断された場合でも、不安なことや気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
テストステロンという男性ホルモンの影響が関係していると考えられているため、会陰ヘルニアの予防として
去勢手術を受けておくことが効果的
とされています。
💭うちのコには、去勢手術はできればしたくない…
と感じる飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、去勢手術は会陰ヘルニアをはじめ、前立腺のトラブルや肛門周囲の病気など、将来的な病気のリスクを減らすための大切な処置でもあります。
そのため、すでに会陰ヘルニアと診断されたワンちゃんが未去勢の場合には、ヘルニアの手術とあわせて去勢手術をおすすめすることが多い点についても、ご理解いただければ幸いです。
大切なのは、愛犬が元気に長く暮らせること。
それは飼い主さんにとっても、私たち動物病院のスタッフにとっても、共通の願いです。
正しい情報を知っていただいた上で、愛犬の健康を守るための最善の選択を一緒に考えていければと思います。
会陰ヘルニアは、ホルモンの影響や加齢にともなって少しずつ進行するため、初期には気づきにくいことも。
「なんとなく変かも?」という小さな違和感が、愛犬の命を守る大きなきっかけになることがあります。
おしりのふくらみや、うんち・おしっこの様子に気になる変化を感じたら、お気軽に当院へご相談ください。
リベ大どうぶつ病院では、会陰ヘルニアをはじめ、高齢のワンちゃんに多いさまざまな病気・トラブルにも丁寧に対応しております。
💭うちのコも、そろそろシニア期かな
💭若い頃に比べて、最近ちょっと気になることが増えてきたかも…
そんなタイミングでの早めの受診が、健康寿命をのばす重要なカギになります。
あなたと大切な家族がこれからも安心して暮らしていけるよう、スタッフ一同、全力でサポートいたします。
院内では、どんな小さなことでもどうぞ遠慮なくお声がけくださいね!
受診前にお問い合わせいただけます。どうぞお気軽にご利用ください。
それではまた、次のコラムでお会いしましょう!

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