🐶犬
歯科
皮膚科
公開日
2026.3.24
更新日
2026.3.23

こんにちは!リベ大どうぶつ病院 院長の林です。
🌀 愛犬の目の下が腫れている
🌀 片側だけ腫れている
🌀 目の下が赤くなっている
そんな症状に気づいて心配になっていませんか?
このコラムでは、犬の目の下が腫れる原因の一つである「眼窩下膿瘍」について、その原因や治療、予防のポイントをご紹介します。
愛犬の目の下が腫れていると、目や皮膚の病気を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、歯のトラブルが原因になっていることが多くあります。
その代表的なものが「眼窩下膿瘍(がんかかのうよう)」です。

眼窩下膿瘍は、目の下に膿(うみ)がたまって腫れる病気です。
犬の目のすぐ下には「上顎第4前臼歯」という大きな奥歯があります。この歯の根元が細菌感染すると、歯の周りの骨にも炎症が広がります。
また、体の中で炎症が起こると、白血球が細菌をやっつけようと働きます。役割を果たした白血球や死んだ細菌は「膿」となり皮膚の下にたまり続けることで、目の下が腫れて見えるようになるのです。
「眼窩下膿瘍」の主な原因は、歯周病の進行です。
歯の表面に食べかすや細菌が付着すると、歯垢(プラーク)が作られます。歯垢を放置すると固まって歯石になり、歯ぐきに炎症が起こります。
歯ぐきの炎症や、歯の周りの骨の炎症が続いて起こる病気が、眼窩下膿瘍です。

このように、眼窩下膿瘍は、歯のトラブルが進行した結果として起こる病気といえます。
眼窩下膿瘍を放置すると、さまざま症状が起こります。ここでは一例を紹介します。
膿がたまり続けると出口を求めて皮膚に穴が開き、そこから膿がにじみ出るようになります。
また、膿が出ても炎症が治らない限り、目の下の腫れが引いたり、再び腫れたりを繰り返してしまいます。
犬の鼻は、上あごの歯の近くにあります。そのため、歯の根元や、歯の周りの骨の炎症が広がると「鼻腔炎」を引き起こすかもしれません。
鼻腔炎になると、鼻水などの症状が出ることがあります。
歯の根元部分の炎症が長く続くと、歯槽骨(歯の周りの骨)が少しずつ溶けていきます。
歯槽骨が溶けると歯を支えられなくなるため、歯がぐらついたり、抜けてしまうこともあります。
眼窩下膿瘍を放置すると、歯や歯の周りの炎症が長く続くことになり、全身に大きな負担がかかります。
心臓病や腎臓病などの持病があるコ、高齢のコは、命に関わるケースもあるため要注意です。
次のような様子が見られる場合は、眼窩下膿瘍かもしれません。
◻︎ 片側の目の下に腫れや赤みがある
◻︎ 口周りを触られるのを嫌がる
◻︎ よだれが多い・口臭が強くなった
◻︎ ドライフードを食べにくそうにしている
早めに動物病院に相談して、適切な治療を受けましょう。
眼窩下膿瘍の治療は、主に次の2つを行います。
原因となっている「歯」の治療
腫れや痛みなど「今起こっている症状」への治療
それぞれ簡単にご説明します。
眼窩下膿瘍の原因となっている歯は、基本的に抜歯をします。人間の歯科治療では、歯を抜かずに根元だけを治療する方法(根管治療)もありますが、犬に対しては一般的ではありません。
確実に感染源を取り除くため、抜歯を行うケースがほとんどです。
眼窩下膿瘍による腫れや痛みには、抗生剤や鎮痛剤を使用します。
ただし、これらの薬だけでは根本的な原因を取り除くことができません。症状の再発を防ぐためにも、抜歯や外科的な処置は不可欠です。

眼窩下膿瘍は、急に発症する病気ではありません。
食べかすや細菌の蓄積から始まり、歯のトラブルが進行した結果として起こるため、毎日の歯みがきと定期的な歯垢除去が大切です。

痛い思いをしたり、歯を失ったりする前に、日頃からケアしていきましょう!
飼い主のためのペットフード・ガイドラインでも、歯みがきの習慣をつけることは健全な歯を保つことにつながると言われています。
ところが、愛犬の歯磨きについては、次のようなお悩みをよく耳にします。
「なかなかさせてくれない…」
「ちゃんと磨けているか不安…」
このような悩みを解決できればと、リベ大どうぶつ病院では、歯磨き教室を開催しています。
飼い主さんのお悩みをお聞きしながら、正しい歯みがきの方法やコツをお伝えしていますので「一度しっかり教えてもらいたい」という方は、ぜひお気軽にご参加ください。
歯の表面に付着した細菌のかたまり「歯垢(しこう)」は、歯みがきで取り除くことができます。しかし、どんなに丁寧に歯みがきをしていても、歯垢が残ってしまうものです。
歯垢が固まって「歯石(しせき)」になってしまうと、歯みがきでは取り除くことができません。動物病院で歯石の除去をする必要があるため、愛犬の歯の汚れが気になっている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
それではまた、次のコラムで!
【参考文献】
環境省.飼い主のためのペットフード・ガイドライン〜犬・猫の健康を守るために〜
Wang AL, Ledbetter EC, Kern TJ. Orbital abscess bacterial isolates and in vitro antimicrobial susceptibility patterns in dogs and cats. Vet Ophthalmol. 2009;12(2):91-96.
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